サラリーマンのすらすらIT日記

IT関連を中心とした日々を綴ります。
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2013/08/10

「ギリシア棺の謎」の読み比べ−その5

第29章「収穫」。ハルキスの秘書だったブレット嬢はノックスの秘書になります。ノックスはエラリーに「ブレット嬢を誘惑しないでくれ」と言い、外出します。ブレット嬢と二人きりになったエラリーは、ブレット嬢に近づきます。

井上訳

エラリーはすばやく、ジョアンの机に近づいた。「まあ、あきれたわ」とジョアンは、大げさにおじけづいたまねをして叫びながら、はっとうしろに身をひいた。「ノックスさんのさっきの適切な暗示を、早速実行しようってんではないでしょうね、クイーンさま」
「そんな考えはすてるんですね」エラリーはいった。「さて、少しおたずねしたいことがあるんですがね、お嬢さん、われわれがふたりきりのときに」
「わたし、そういわれると、もう胸がわくわくするわ」とジョアンは小声でいった。
「あなたは女だからして......ところでですね、令嬢。このぜいたくきわまるやしきには、何人くらい使用人がいますか」
ジョアンは失望したらしく、くちびるをきっと結んだ。「変な質問ね、若さま、美徳のよろめきを感じている女性に向かっておたずねになるにしては、ほんとに変な質問ですわ。そうですわねえ」



越前・北田訳

エラリーはジョーンの机にきびきびと歩み寄った。「どうしましょう!」ジョーンはこわがるふりをして、身を引きつつ叫んだ。「ノックスさんのきびしい言いつけにさっそくそむくおつもり? クイーンさん」
「とんでもない」エラリーは言った。「ところで、いくつか質問があります。ふたりきりになれたところで」
「何かしら? なんだかうっとりしてしまいますわ」ジョーンはささやき声で言った。
「あなたもやっぱり女性だな......ではうかがいます。この大邸宅に、使用人は何人いますか」
ジョーンはがっかりした顔で、口をとがらせた。「おかしなかたね、あなたって。貞操観念と闘いたがっている女性にそんなことをお尋ねになるなんて、ほんとにおかしな人。ええと、何人だったかしら」


井上訳の面白いのは、「美徳のよろめき」と訳しているところ。ある世代の日本人ならすぐに、同名の"三島由紀夫の小説"を連想します。読んでいない私でもタイトルと作者はわかりました。調べると「美徳のよろめき」が書かれたのは1957年、一方この井上訳の初版が出たのが1959年。三島の小説はベストセラーになって、"よろめき"は当時の流行語にもなったそうで、井上訳は正にその時代にぴったりの訳語だったと言えます。

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