サラリーマンのすらすらIT日記

IT関連を中心とした日々を綴ります。
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2013/10/10

丸谷訳の「ユリシーズ」はなぜ直訳調が多いのか考えてみた

昨日書いたユリシーズの一節など、丸谷訳は直訳が多く見受けられます。北村氏の本では、これ以外にも直訳調の箇所を指摘されています。

第6挿話から

原文

Beginning to tell on him now : that backache of his, I fear. Wife ironing his back.



丸谷訳

今になってあれがこたえてきた。背中が痛いそうだから。女房が彼の背中にアイロンをかける。



北村訳

今になってあれがこたえてきたのだろう。背中が痛むっていうのは。女房が彼の背中をマッサージする。



第17挿話から

原文 plump melon
丸谷訳 肥満したメロン
北村訳 食べごろのメロン

直訳が多い理由を考えてみると、

1.原文を尊重するため、あえて英文和訳的な直訳を採用した。

最初の例だと、原文に"アイロン"とあるのだから、それを意訳して"マッサージ"などとすると、ジョイスがironという語を採用した意図を隠すことになる。したがってあえてそのままの訳語としたのかもしれません。確かに原文の味わいを残すという意味ではわからなくもない理由です。

2.自分(訳者)にとって意味不明なので直訳しておき、本当の意味の理解を読者に委ねた。

普通こんな「白旗を揚げる」ようなことはあり得ないのですが、ジョイスの作品は極めて難解なので訳者にも手に負えないことがあります。実際丸谷氏の訳注には「ブルームが何を言おうとしているかは不明」なる一文があるそうで、明らかに「白旗」です(ブルームとは、ユリシーズの登場人物の一人)。柳瀬氏の「翻訳はいかにすべきか」によると、丸谷氏の訳注は海外の研究者による注釈文の訳ではないかとも思えるとのこと。あまりに直訳調のものは全く日本語になっておらず、北村氏も唖然とされているようで、まるで「やっつけ仕事」のようにも感じます。3人の共訳ですが、訳語の統一感が乏しく、3人の連携が取れてない節も見受けられます。

まあ全訳を成し遂げたという意味では評価はできますが、質が伴っていないのはいただけません。

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