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サラリーマンのすらすらIT日記

IT関連を中心とした日々を綴ります。
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2009/10/30

翻訳家の仕事-その2

10月27日から読書週間ということですので、少し本の話を。

学生時代に、河出書房新社の文芸読本「ドストエーフスキイ」という本を買いました。今は絶版のようです。



その中でロシア文学者米川正夫氏のエッセー「翻訳の苦心を通じて」というのが載っています。ドストエフスキーの著作の翻訳についての面白いエピソードが書かれています。

「地下室の手記」にはじまり、「罪と罰」「白痴」「悪霊」といった長編小説の翻訳について書かれたあと、最後に、筆者が"満足した出来"だという「カラマーゾフの兄弟」の一節について書かれていました。

第五編「プロとコントラ」("肯定と否定"の意)の第一章の初めの方に、ホフラコワ夫人がアレクセイに娘リーザの言葉として「あたしあの松を夢のように憶えてるわ」というところがあります。日本語だとわかりませんが、ロシア語の原文では「松を」はсоснуであり、「夢に」はсоснаとのこと。つまり一種の語呂合わせなので、翻訳者がいかに訳すかが実力の見せ所ということです。米川氏は「梅を夢のように」と訳しています。松を梅に置き換えることで、日本語での語呂合わせに成功した、ということです。

他の翻訳者の訳文はどうでしょうか。

新潮文庫の原卓也氏は「あたしあの松の木が記憶にまつわりついてならないの」と訳しています。"まつ"でひっかけるという苦心の跡が現れています。一方、近年話題になった光文社古典新訳文庫の亀山郁夫氏は「あたしね、あの松の木、夢で覚えてるの」と普通に訳して、ロシア語をカナにして該当部分にルビを振っています。古典新訳文庫のモットーは「いま、息をしている言葉で、もういちど古典を」ということですので、今ではおやじギャグにもならない語呂合わせを全く無視しています。

米川氏は明治生まれの大ロシア文学者で、戦前から翻訳をしている人ですから、時代を考えるとこういう翻訳になるのかもしれません。翻訳の違いは時代の違いをも表しています。

翻訳物は、このように異なる翻訳者のものを読み比べると面白さが倍増します。

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